アメリカの賃金の格差はひろがりつつあり、この拡大の理由は〝学歴格差″で説明できる
高卒者の賃金の中央値が2万7963ドルなのに対して、大卒者は4万8097ドル。大学院卒の賃金は8万7775ドルだ。
「金持ちから搾り取れ」という政策は、金持ちではない人たちにも人気がない。
所得分布の下位20%はほぼ固定化されているにもかかわらず、アメリカでは71%の人が貧困層には貧困から抜け出すチャンスがあると考えているからだ。
しかし、過去25年のあいだに、学歴不足のせいで難局から抜け出すことができないという現実に直面するひとびとが増えつづけている。
アフリカ系アメリカ人やヒスパニックは学歴格差によって大きな痛手を受けてきた。
となると、かわりとなる手段は税制と所得再分配だが、所得格差の拡大によって議会の二極化が進み、税制と所得再分配について意見が一致することは難しくなっている。
そこで、政治家は有権者の生活を向上させるために、1980年以来、もっとも魅力的な解決策とされたのは、返済が容易になる条件をつけて金を貸すことだった。
政治家は銀行が住宅ローンの提供を拡大するのを喜んだ。
これが借り手を苦しめ、納税者にとって大きな負担となる危険を孕んでいたのは、私たちが経験して知っているとおりである。
日本とドイツの輸出に依存した経済成長は、両国が世界第2位、第3位という経済大国になると、輸入する側の国々には需要を伸ばさなければならないという重荷が課された。
1985年のプラザ合意で、日本はアメリカの圧力により円高を進めることに合意し、輸出セクターが圧縮されるのを避けるために日銀は金利を大幅に切り下げた。
ところが、金融緩和政策が引き起こしたのは、株式市場の高騰と不動産バブルだった。
輸出主導の経済は、裕福になるにつれて国内市場を拡大することさえできす、自らの回復も海外からの刺激に頼らざるをえない。
残念ながら、いまだに政府の政策、国内の既得権益、家庭の節約の習慣などがあいまって、輸出依存から抜け出せずにいる。
アメリカなど富裕な先進国は、生産したり稼いだりする額よりも多く消費し、赤字を埋め合わせるために借金をしている。
中国やベトナムなどの貧しい国は、逆のことをしている。
もちろん国民1人当たりの所得はアメリカが世界最高で、それにつれて貯蓄率は低く、06年のアメリカの消費は世界の余っている貯金の70%を借りることで成り立っていた。
こういう消費パターンが生まれたのは、借金漬けになって消費することを政府の政策が奨励したからだ。
チリ、中国、ドイツ、日本、マレーシア、サウジアラビア、韓国などは、輸出依存型の成長をつづけてアメリカに商品を供給し、アメリカに金を貸して商品を買えるようにした。
こうした国にとっては、外国の需要に対して供給するほうが、国内の需要を高めるよりもずっと安定した成長の道筋だった。
現状維持が予想以上につづくとしても、長期的な利害の面からも、輸出国は戦略を変更すべきだ。
日本はもっとバランスがとれた道へと方向転換できたのではないか。
世界の安定と持続のためには変化が欠かせないし、長期的にはそれがどの国にも利益をもたらす。
だが、変化は居心地のいい現状維持を乱し、既存の利害関係を揺るがす。
そんなわけだから、私たちは財政面と環境面の両方で持続不可能な世界的需要という岩と、政治的変革が困難な国内政治という固い地面に挟まれて、身動きがとれなくなっている。
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- 2012/01/07(土) 07:00:06|
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